表15 『ジャンプ』マンガ主要キャラクター性格分析( )の数字は%
『ジャンプ』1990〜1994年より作成
| 表15は、最近5年間の主要キャラクター151人の性格を分析したものである。ここでは性格を大きく1〜6のパーソナリティに分け、かなり細かく分類をした。各パーソナリティの分類の基準は以下の通りである。 ・第1パーソナリティ(善・悪) 善・・・正義的な行動をする、弱者を守る、悪意が感じられない、など。 ・第2パーソナリティ(明・暗) 明・・・明るい、はきはきしている、元気がいい、さわやかである、熱血的、など。 ・第3パーソナリティ(美・不美) 美・・・(容姿的に)美しい、美少年、美女、カッコイイ、かわいい、など。 ・第4パーソナリティ(強い・弱い・普通) 強い・・・(体力的に)格闘が強い、ケンカが強い、一撃必殺である、など。 ・第5パーソナリティ(常識・非常識) 常識・・・(行動が)常識的である、礼儀正しい、真面目、利口、素直、など。 ・第6パーソナリティ(おおらか・短気) おおらか・・・人当たりがよい、落ち着いている、のんびりしている、など。 このように分類したところ、1〜3のパーソナリティは「善」「明」「美」といった人間的に好まれる要素が圧倒的であった。第4パーソナリティは『ジャンプ』自身が格闘マンガが多いこともあって、「強い」が7割を占め、“ヒーローは強くなければならない”を地でいっていることがよくわかる。どうやら「弱い」キャラクターはいらないらしい。「普通」も4分の1を占め、格闘以外の技能で抜きんでていたり、この点においては本当に平々凡々としたキャラクターもいるということである。 第5、第6パーソナリティはほとんど五分五分で、片寄りは見られない。つまりマンガ家はキャラクターを創るうえで、その個性づけを第4、5、6パーソナリティに大きく委ねているわけである。「善」「明」「美」というものは、もはや当たり前なのかもしれない。 では人間的に好まれない要素を中心に見ていこうと思う。「悪」というキャラクターは18人いるが、すべて「明」に属している。つまり「悪」で「暗」という最悪のパターンは存在しない。「暗」は12人いるが、すべて「善」と「美」に属し、どちらかというとクールでカッコイイキャラクターとして扱われている。「不美」には必ず「明」が伴うし、「弱い」も「明」が伴う。つまり『ジャンプ』のキャラクターには何か悪い要素があったとしても、それを補う良い要素が必ず存在するのである。 さて、『ジャンプ』で多いキャラクターを5つ挙げてみると、 @善-明-美-強い-常識-おおらか (17.2%) となる。意外なことに、@はとりえが「強い」だけの、ノーマルなタイプである。普通そうに見える人が実は「強い」という、ギャップで個性を出しているともいえる。A、Bは「非常識」を売りにしたキャラクターであることがわかるが、Cはあまりにも平凡である。 以前は多くがスーパースターだった。今は才能がないものが、周囲の助けや励ましで勝ち上がっていく物語が多い。子供たちは、こういった等身大の人間に共感を覚える。(スーパーヒーローは)今は現実味がありません。〔朝日新聞1991年11月3日付け〕 とは、『マガジン』の五十嵐編集長の弁である。どうやら読者の好みの傾向も変わってきたようである。Dはギャグマンガの主人公に多い。実に個性のある配列をしている。 『ジャンプ』は約7:3の割合で“ヒーロー”になりやすい「強さ」を持っているキャラクターが多い。しかしその人たちも、かなりの確率で「常識人」であり、限りなく「普通人」に近い。「普通の人が持つ、すごい力」。これが最近好まれているキャラクター像なのである。 |
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