| 3年間の暴力表現は3551コマ、これは総コマ数49027コマの7.2%であった。この数値が多いのか少ないのかは、比較するものがないのでなんとも言えないが、全体の1割をも満たしていないので、少ないものと見てよいだろう。残虐性や迫力で見ると、ほとんど迫力のない「小」が約半数を占めており、いわゆる暴力的迫力の強い「大」「中」があわせて半数と、ほぼ同数でバランスが取れていることが特徴的である。つまり批判対象となる「残虐さ」を表した場面は、全体7.2%のさらに半分の3.5%〜4.0%くらいにまで減ってしまうのである。 では暴力表現で多いものは何かというと、 @流血 A殴る B武器使用 C特殊能力 Dその他 という順になる(図26)。@が多い理由として顕著なのが、「鼻血」の表現である。「鼻血」は笑いを誘いやすいため、普段は暴力表現の少ないマンガでも登場しやすいのである。また、一度流血してしまうと、表現上途中でそれが消えてしまうのは変なので、流血しつづけることになる。こういった理由で「流血」は飛びぬけて多くなってしまったのである。しかしキャラクターのダメージを表す表現として「流血」は、極めて表現しやすく、読者にダイレクトに状況が伝えられるという点で、表現頻度が多いともいえよう。 図26 暴力表現 @流血 A殴る Aは人間が攻撃する手段として、日常でも最も多く使われるものであることが反映されている。野蛮な言い方をすると、人間は相手を攻撃するときに、まず「手」が出る、ということである。特に格闘マンガの多い『ジャンプ』では「基本的な」暴力であろう。ただこの数字の中にはボクシングマンガも含まれていることを断っておく。 B、Cはこれぞ少年誌、というような暴力表現である。いわゆる「必殺技」の類がここに多く当てはまる。 だがこれらの暴力表現、特に攻撃をする表現は、善玉と悪玉でその性質が変わってくることに注意しなければならない。悪玉はマンガの演出上、攻撃も理不尽なものが必要以上に多くなろうが、善玉は必要最低限の場合にのみに暴力を使用することが多い。善玉の暴力に理不尽さが出てきたら、それこそ考え物であろうが、そうでなければそれほど「教育上よくない」ものではないと考えられる。何よりもここ3年間での暴力表現は年々減少しているのである(1992年8.7%、1993年8.0%、1994年5.0%)。 ちなみに3年間で「暴力表現」の割合の多かったマンガは(そのマンガ10冊分の暴力コマ数÷そのマンガ10冊分の総コマ数)、 @『ジョジョの奇妙な冒険』 (荒木飛呂彦) 1992年(22.2%) A『瑪羅門(バラモン)の家族』(宮下あきら) 1992年(19.4%) B『ろくでなしBLUES』 (森田まさのり) 1993年(17.3%) という順であった。 |
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