オレ流超人批評

第44回 ビッグボディチーム

キン肉マン史上に残る伝説のカルテット

瞬間で華開く強烈な個性に中毒者続出

今あらためて彼らの魅力を深く追求する!

What's ビッグボディチーム

先   鋒

ペンチマン

次   鋒

レオパルドン

中   堅

ゴーレムマン

副   将

キャノンボーラー
 

 

 ビッグボディチームといえば『キン肉星王位争奪戦』において、見事なまでのやられっぷりを披露した面々としてある種カルト的人気を誇っている集団です(笑)。秒殺・瞬殺・残虐葬に片八百長と、まさにこれでもかといわんばかりのバラエティに富んだくたばり様を見せてくれています。

 今回は彼らビッグボディチームの面々を一人ずつピックアップし、それぞれのアーティスティックなまでの散り様を考察しつつ、彼らが十分読者にアピールできなかったであろう内面をテキトーに妄想してみようかと思います(笑)。それでは先鋒・ペンチマンからどうぞ。

 

名   前 ペンチマン
出   身 トリニダード・トバゴ
超人強度 340万パワー
必殺技 ペンチクロー
主な戦績 マンモスマン●

 

 さあ、伝説チームの先鋒は、中南米からやってきた工具超人・ペンチマンです。彼に関しては、なんでわざわざペンチくっつけちゃったのかなあ…?という疑問が大きいですね。こういった融合超人をみていつも思うのが、この姿は先天的なのか、後天的なのか、ということです。つまり生まれたときからこういう姿なのか、それとも後からこういう姿に自らしたのか、ってことなんですけどね。

 もし先天的だとすると、きっと『ペンチ一族』なる集団がいて、親も兄弟もいとこもはとこも、みんなあんな生活に重大な支障がありそうなカッコで生活しているんですよ(笑)。結婚するときも“鼻から下美人”の取り合いになったりしてさ。いや、すでに彼らの美的感覚は、“いかに美しいペンチを持っているか”なのかもしれませんね。進化の法則も、彼ら一族のペンチを「ありだと思います!」ってふんだから、遺伝的に残しているわけでしょ(笑)?そう考えると、彼らのペンチは生きていく上で優性なものなんでしょう。しかも『ペンチ一族』っていかにも直感的でわかりやすいから、非常にゆで先生好みだと思うんですよ(笑)。たぶんこっちの方(先天的)が可能性が高いと思いますね。

 もし後天的だとすると、彼自身あの姿に明確なビジョンがあっての改造ということになります。両手をペンチにすることで、どんなに日常生活が困難になろうとも、それを補って余りある利点があると彼は考えたわけですね。たとえお茶を飲むときには、常に両手を合体させて湯飲みを挟むということになろうとも(笑)。さらにいうと、頭までペンチにする必要あったのかなって…目も見えなくなってるし、プラス要因がオレら凡人には見つけづらいんですよ(苦笑)。しかしそこまでの断固たる意志で肉体改造したのに、結果がバックブリーカーで真っ二つでは報われないですよね〜。自慢の両腕ももげちゃっているのがさらに残酷です。誌面ではマンモスマンの反撃1コマという短い時間であっさりもげていますが、その時ペンチマンにはきっといままでの苦労が走馬灯のように流れていたことでしょう。

「鉛筆、持ちづらかったな」とか
「お米、とげなかったよな、オレ」とか
「サビとり、油補填、結局ひとりじゃできなかったな」とか(笑)。

 でもチームの中では唯一、その自慢の武器でマンモスマンの体を傷つけることができたのだから、まだマシなほうだったのかもしれませんね。

 

名   前 レオパルドン
出   身 ドイツ
超人強度 460万パワー
必殺技 突撃(笑)?
主な戦績 マンモスマン●

 

 『キン肉マン』という作品において、裏人気ナンバーワンといっても過言ではないのが彼・レオパルドンです。彼の存在失くしてビッグボディチームはここまで伝説を残すことはなかったでしょう。いってしまえは「ビッグボディチーム=レオパルドン」であり「レオバルドン=ビッグボディチーム」と言い切れるほど、彼はこのチームの象徴として君臨しています。いったいなぜ彼はこれほどまでにカルト的人気を集めたのでしょうか。すこし考察してみましょう。

 彼が伝説になった大きな理由は、その散り様があまりにも瞬間的であり、滑稽であったためだと思われます。出場コマ数たった6コマ、しかもその前半3コマ目で絶命と、素晴らしいまでの疾走感と笑いを強烈に読者にアピールしました。そしてその3コマにおける全てのセリフが名言(笑)です。

1コマ目:「次鋒、レオパルドンいきます!!」
2コマ目:「グオゴゴゴ」
3コマ目:「ギャア――ッ!」

 まず1コマ目の力強い発進宣言。この特攻隊的発言が、その死に様と見事にリンクしている点が読者の笑いを誘っているんですよね。「ああ、予想通り!」みたいな(笑)。その後誰かに「いきます」を「逝きます」という、天才的誤変換(笑)をされることによって、このセリフはさらに高みに昇ってしまいました。

 次に謎の掛け声「グオゴゴゴ」。このおかしな掛け声が、彼のドタバタとしたあわてっぷりと、頭の悪さ加減を連想させます。しゃにむに、そして敵の背後から襲い掛かるという余裕のなさが、この掛け声をさらにおかしなものにさせているんですね。

 そして最後の「ギャア――ッ!」(笑)。なんとも基本的な断末魔ですが、そこに至るまでがわずか2コマしかないため、妙にコミカルなんですよね。「早っ!」って誰もがつっこんだと思います。このテンポ抜群な散り様とセリフ回しが、彼の哀れなんだけれどもなぜか笑っちゃうテイストを存分に醸し出し、それの中毒性にはまった読者を捕まえて離さないんですね。出番が少ないだけに、その密度が濃厚なんですよ。

 また、そのフォルムもかなりエキセントリックです。このつっこみどころ満載なデザインも、彼が伝説たりえた要因のひとつでしょう。全体的に横広なずんぐりむっくりとしたスタイルに、ガン○ムに登場するド○を髣髴とさせる真ん丸な顔。それを受け止める首が存在せず、頭がまるでゴム鞠のようです。ちょっと突付けば「ボヨヨヨ〜〜ン」となりそうな(笑)。左手にはコ○ラもびっくりなサイコガンを装着し、背中にはキャタピラを模したバンドのついた、ランドセル型の大砲。そんな一人火薬庫のような銃火器を装備しているのに…なぜか裸足(笑)。「上半身を厳重に固めているのに、なんで足元だけそんなにラフなの?」という日本中からのツッコミを受けた瞬間ですよ。そんなアンバランスさがまた彼のキャラクターをおかしなものにし、読者を虜にして離さないわけです。

 あと個人的におかしいのが、「レオパルドン」という名前の響きです。これを聞くと、どうしても「西郷どん」的なイメージに聞こえてしまうんですね。「レオパルどん」みたいな。このちょっとのんびりとした、さらにほんわかした名前の響きが、彼のドスドスとした足取りを愛嬌あるものにしているんです。頭悪そうだなあ、みたいな。いや、西郷さんは頭悪くないんですけどね。上野の銅像のイメージだけだと裸の大将とあんまり変わらないからさ(笑)。もっと「レオパルド」とか「レオポルド」のようなスマートな表記だったら印象違ってたのかもしれないのになあと思いつつ、「グオゴゴゴ」言わせるんだったらやっぱり「レオパルどん」しかないな、なんて妙に納得しちゃたりして。

 きっと彼は強力チームのオファーをもらったときから、決戦に備えていろいろ調整してきたと思うんですよ。特に銃火器を多く取り扱うので、射撃の訓練、砲身の清掃、砲弾の補充には相当神経をつかって整備してきたに違いありません。大砲ランドセルの重さに慣れるために、あれを背負ったままランニングをしたりしたことでしょう。ひょっとしたら寝るときも背負ったまま寝ていたかもしれません。また、あまり訓練で砲弾を使用するなと、ドイツ政府から注意を受けたかもしれません。そうです、彼の砲弾はドイツの国防費、つまり国民の税金から捻出されていたんですよ。きっと(笑)。

 そんな裏設定を想像すると、彼の瞬間的すぎる戦闘シーンがさらに楽しい哀れなものに思えてしまうんですね。おそらくレオパルドンに魅せられた人たちっていうのは、こんな感じの裏設定を自分なりに想像しているからこそ、彼の薄幸すぎる生き様に笑いと同情という二律背反した特異な感情を感じ、それをおおいに楽しんでいるのでしょう。そんな楽しさをたった6コマで世に送り届けたレオパルドン。やはり偉大だったといわざるをえませんよね(笑)。

 

名   前 ゴーレムマン
出   身 イスラエル
超人強度 580万パワー
必殺技 ジャイアント・スイング(笑)?
主な戦績 マンモスマン●

 

 『キン肉マン』における数ある敗北シーンにおいて、1、2を争う残酷な死に様を披露したのが彼・ゴーレムマンです。彼は強力チームの天敵であるマンモスマンを攻め込んだ、なかなかの剛の者なんですが、とにかく無口なんですよ。他のチームメイトたちと比べて出演場面が段違いに多いくせに、手元にある資料を調べてみると、セリフは「グオオ」「「グオーッ」「ゴァッ!」の3つのみ。これで普段コミュニケーションがきちんととれているのかと心配してしまうほどの無口さです。というか、この3つもただの掛け声だし(笑)。とてもセリフとはいえないですよね。きっと必要以上の受け口が、彼の発声を阻止しているに違いありません(笑)。

 おそらくビッグボディも彼に参戦のオファーを出すときには難儀したと思うんですよ。

ビッグボディ「激戦を勝ち抜くためにも、ぜひともわがチームに参加してほしい!」
ゴーレムマン「・・・・・・・・・(受け口)」
ビッグボディ「む?なにか不満でもあるのか?」
ゴーレムマン「・・・・・・・・・(受け口)」
ビッグボディ「黙っていてはわからんだろうが」
ゴーレムマン「・・・・・・・・・(受け口)」
ビッグボディ「出るのか、出ないのか。ハッキリしてくれ!」
ゴーレムマン「・・・・・・・・・ゴァッ!」
ビッグボディ「(めんどくせえ…)それを参加の意思と受け取るぞ」

みたいな(笑)。だから本当に彼が国立競技場に現れるか、ビッグボディはドキドキだったと思うんです。彼が到着して初めてほっとしたんじゃないですかね。「あ、きちんと会話が繋がっていたんだ」って(笑)。

 そんな受け口で無口な彼のやられっぷりは、冒頭に書いたように、チビッ子にはトラウマになってしまうのではないかと思えるようなものでした。パイルドライバーで頭をキャンバスにめり込まされたのち、そのめり込んだ首を支点にして体を捻られ首チョンパ。残酷すぎます。さらに彼の哀れなところは、その死体をもぞんざいな扱いをされたことですね。フェニックスの『デスボディ・シュート』によって蹴り飛ばされ、テリーとロビンを追う超人警察隊の障害物として利用されてしまいました。まさにふんだりけったりです。この時点で彼はすでに「生物」として扱われておらず、完全に「物」と化していました。まあもともと『ゴーレム』というのは感情のない、無機物的な障害物といった設定がありますから、それに沿っているといえば沿っているんですけどね。だからせめてこれを見た全国のチビッ子たちが、「同情」という気持ちを学んでくれればと思います。でないとゴーレムマン、ちょっと報われないですよ(泣)。

 

名   前 キャノンボーラー
出   身 イラク
超人強度 800万パワー
必殺技 ラリアート(笑)?
主な戦績 マンモスマン△

 

 さあ、伝説チームの最後を飾るのは、天敵・マンモスマンと唯一引き分けた(マンモスマンの片八百長だったけど)キャノンボーラーです。彼については「常に“ハアハアハア”と息があがっている」「実は二重まぶたである」くらいの認識しかないんですよ(笑)。この文章を書くにあたって、あらためて彼をよく見てみると、ホントにわけのわからんスタイルをしていることに気づきます。まず謎のヘルメット。両肩にはイカつい肩当があり、そこからクロスして伸びたバンドの交点に大きな円形のアクセサリー。腰から下にはダサいパンタロンをはいています。

 なんかもう、コンセプトが何やらよくわからないんですよね(苦笑)。体中に石ころをくっつけているような感じなんです。ヘルメットや肩当が妙に堅そうなんで、ひょっとしたら頭突きとかショルダータックルとかが得意なのかもしれません。戦闘中にはまるでそんな素振りは見られませんでしたが。まあどっちにしてもダサい超人であることに変わりはないですね。失礼ながら(笑)。

 思うに彼は、強力チーム唯一の生き残りになったと思うんですよ。他の4人のやられっぷりはどう見ても「=死亡」じゃないですか。でも彼だけはラリアートをくらって一時的にノビているだけですんで、きっと超人病院で目を覚ましたと思うんです。そしてふとため息混じりにこう言ったはずです。「…結局生き残ったのはオレだけか…」って。きっと悲劇のヒーローを気取って、自分に酔っていたことでしょう。

 そして彼はその後の人生を、“フェニックスチーム戦の戦火から生き残った唯一の男”として、伝説を紡ぐ語り部として過ごしたに違いありません。そう、新撰組の生き残りである永倉新八がそうであったように。そして「ワシが最後にあの象の超人を止めたんじゃあ。そう、渾身のラリアートでなあ」とかいってその二重まぶたを細めながら、過去を知らない若い超人や子供相手に得意気に話すんですよ。そのときにハアハア言っているかはわからないですけどね(笑)。

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 とまあ、ここまで4人に対する雑感を述べてきたのですが、今度は「なぜ彼らはチームとしてああまでも見事に機能しなかったのか?」という、敗因について考察してみたいと思います。私が思うに、原因は2点ほどあると思います。

 まず一つ目は、彼らが着ていたコスチュームですね。選手の正体を隠すために、各チームさまざまなデザインのオーバーコートを着ていたのですが、他チームがマントやフードといった、比較的ゆったりとしたコスチュームを着ていたのに対し、ビッグボディチームはモトクロス用ヘルメットにアメフトユニフォームという、パツンパツンないでたちでした。

 ペンチマンの頭やレオパルドンの大砲、キャノンボーラーの無駄に大きい肩当て等、変化に富んだやんちゃな物体が、この伸縮性に難のあるコスチュームにギュウギュウに押し込まれていたわけです。それでいてこのコマにみられるように、メンバーの体格は同一にみえるので、3メートルの巨人であるゴーレムマンがどう体を折りたたんでこのコスチュームに身を潜めていたのかは、すでにミステリーの域に達しているといえるでしょう。

 そんな感じで体が無理に縮こまっていたら、そりゃもうベストコンディションとは程遠いわけで。4人が4人とも完全にエコノミー症候群ですよ。つまりビッグボディはオーバーコスチューム選びですでに敗北していたんです。

 二つ目に、彼らは大きな凡ミスをしでかしているんですね。おそらくビッグボディはチームのメンバー表を

と書いて提出したと思うんです。2、3の誤字脱字を含みながら(笑)。で、注目すべきはそうです。副将はなんとキャノンボーラーではなく、レオパルドンだったんですね。私が思うに、ビッグボディはレオパルドンをチームのエースとして考えていたのではないかと思うんです。というのもですね、彼ら4人は何の脈絡もなくチームを組んでいたわけではなくて、それぞれに役割があったと思うんです。ハッキリいいましょうか。レオパルドンを除く彼ら3人は、実は完全体・レオパルドンのオプションだったんですよ。

 例えばキャノンボーラーは訳すと「砲弾」ですよ。つまり彼はレオパルドンの大砲に込められる弾なんですね。巨大な。そしてゴーレムマン役割は、レオパルドンの盾であり装甲です。インベーダーゲームの自機の上にある障害物みたいな。そしていざというときには、その硬い装甲をレオパルドンに装着するんです。レオパルドンの素肌露出が妙に多いのはこのためですね。このように、最強の砲弾と最強の装甲が装備されたときにはじめて恐怖の完全体・レオパルドンがその恐ろしき格闘能力を発揮するんですよ!そしてその完全体を造るために必要な工具が…そう、ペンチですね。必要でしょ?ペンチ。さらにレオパルドンが負傷したり故障しかけたときの修繕にも…そう、必要でしょ?ペンチ。

 つまり本来ならば、ペンチマン−ゴーレムマン−キャノンボーラーの3人が負けたとしても、その部品をレオパルドンに装着させて、怒涛の反撃をみせる目論見だったわけです。しかし悲しいかな、レオパルドンが出る順番を間違えちゃったんですね。なまじ顔の見えないモトクロスヘルメットなんて被っているから、誰が次鋒かよくわからなかったんです、きっと(笑)。このあたりでもコスチューム選びの失敗が響いているわけです。

 おそらくビッグボディは動揺したと思いますよ。ペンチマンが惨殺されて「つ…つぎ、次鋒でろ!!」と指示を出すと、「次鋒レオパルドンい(逝)きます!!」と間髪いれず出て行って、間髪いれずやられた時に、彼はこんな表情をしているんです。

これはおそらく私が思うに

という心理状態だったと思うんですよね。ヘルメットで見えない素顔、止める間もなく飛び出したおっちょこちょいの副将、瞬きする間もない敗北。そんな想定外の不幸が重なった時の、えもいわれぬ表情。それが

これに凝縮されていると思うんですね。ここからビッグボディの計画は完全に崩れ、皆さんご存知の末路を辿るわけです。もしレオパルドンが予定通り完全体になっていたら…きっとマンモスマンなんて軽く粉砕していたことでしょう…って、ないない(笑)。

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※今回はサナさん、瀬戸さん、ガルさん、ひろきさん、ぽんさん、南條さん、六神さん、モーカーさん、レオ様命さんほか、たくさんの方からリクエストをいただきました。ありがとうございました。

(2009年4月25日)

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